|新潟市-O様邸|
効率良く「便利」なことが必要不可欠な現代において、日常生活で無意識に便利を選択する機会が多々あり、考える間もなく実行されています。
一方、「不便」とは改善のきっかけでもあります。
便利を目指すと使い方が限定され、その物の名称の役割りになるが、不便は常に変化できる状態で予定調和にいかない個性と愛着を生む可能性を秘めています。
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この家は住んでから解決していける余白のある「不便な家」。
延床面積29坪のコンパクトな総二階は当初、便利な役割りで埋め尽くされていました。
そこで不便とは「場所の名称」を外すことと定義することに。
この家での「LDK・洋室・ホール」は、時に「寝室・仕事部屋・サンルーム」にもなり、暮らしの変化に応じて過ごす場所の名称が変わる。壁際にキッチン、ベンチ、収納を寄せ中央に広い空間をとります。
1、2階共この構成で上下階の空間を選択でき、外周壁面には棚等を自由に設置できる棚受け柱を90㎝ごとに計画し、柔軟な暮らしに対応しています。
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リノベーションはいつも制限が付き纏うものです。
想像通りにいかないことを前向きにとらえ、意図しないものに面白さを見い出す。
そんなリノベーションにはいつも感動があります。
本プロジェクトは築7年の中古物件を断熱改修でUA値0.36 W/m²・K(断熱等級6)に性能向上し、国の補助金約150万円も取得した「築浅アップデート」という次世代型リノベーションのかたちでもあります。